2021年の全日本大学駅伝はドラマティックな展開に

11・7、第53回全日本大学駅伝をテレビ観戦。

全日本大学駅伝、正式には「秩父宮賜杯 全日本大学駅伝対校選手権大会」。箱根駅伝出雲駅伝と共に男子の3大大学駅伝とされる。

始まりは1970年、箱根駅伝参加資格は「関東学連加盟校」であるため、真の日本一を決める大会と言われる。

出場大学は、各地区学連が日本学生陸上競技連合に代表校を推薦する形で決まる。推薦大学決定方法は各地区の各学連に一任され、駅伝・ロードレース(1万m・5,000m)など地区・年によって変わる。

20で始まった代表枠数とその決定方法は変遷を重ねており、2015年大会以降は27チーム(25大学+OP2枠)が出場。シード制(6大学)は2000年大会(2001年の大会出場資格)から始まり、2018年大会からは上位入賞8大学に拡大した。

コースは、愛知・熱田神宮~三重・伊勢神宮(8区間/106・8キロ)。2018年第50回記念大会から8区以外の区間距離が変更された。

1区/  9.5km 2区/11.1km 3区/11.9km 4区/11.8km
5区/12.4km 6区/12.8km 7区/17.6km 8区/19.7km

 

前年度覇者・駒澤大青山学院大出雲駅伝覇者・東京国際大が有力視された中、駒大が大逆転で2連覇を達成した。14度目の優勝。

駒大は1区で佐藤条二(1年/市立船橋)が区間新記録でトップに立った。しかし、2区3区は不調で、4区スタート時点は11位。ここから6区スタートで9位と粘り、6区・安原太陽(2年/滋賀学園)が4位へ、そして7区で、前回大会MVPの絶対的エース・田沢廉(3年/青森山田)が首位に押し上げた。最終8区・花尾恭輔(2年/鎮西学院)は、青学大キャプテン・飯田貴之(4年/八千代松陰)に一度は並ばれたが残り2kmで突き放した。

 

1区:区間賞(27分5秒)駒大・佐藤、2位同タイム中央大・吉居大和(2年/仙台育英)、3位1秒差國學院大・島﨑慎愛(3年/藤岡中央)までが区間新記録、1秒差の襷リレーの熱戦スタート。従来の区間記録は昨年大会で順天堂大・三浦龍司(1年次/洛南)が作った27分7秒。6位の日本学連選抜・亀田仁一路(関西大学2年/姫路商)の頑張りが印象に残る。

 

2区:東京五輪男子3000メートル障害で7位入賞を果たした順大・三浦龍司(2年)がさすがの走りを見せて、順位を一気に首位にあげる。2位は法政大。2021年箱根駅伝1区区間賞の鎌田航生(4年/法政二)が順位を3つ上げた。早稲田大・井川龍人(2年/九州学院)が区間2位の走りで1秒差の3位に。

 

3区:東京国際大イェゴン・ヴィンセント(3年)が圧巻の区間新。相澤晃(東洋大)が2019年に記録した33分1秒を15秒も上回る32分46秒。早大は中谷雄飛(4年/佐久長聖)が区間4位の走りで2位に。順天堂大は伊豫田達弥(3年/舟入)が区間5位で早大に1秒差の3位に。早大・中谷と順大・伊豫田のツイッターのやり取りがとてもよい。

 

区間2位は拓殖大ジョセフ・ラジニ(3年)。青山学院大・岸本大紀が区間3位で10位から8位に順位を上げ、東京国際大を除く大学との差をじわりと詰める。

 

4区:東京国際大・堀畑佳吾(3年/清風)がトップを守るが区間11位。2位早大・菖蒲敦司(2年/西京)は区間5位。菖蒲は出雲駅伝1区を走り、区間賞・青学大・近藤と4秒差の区間2位。2021年箱根駅伝は3区にエントリーされながら当日変更で出場できなかった悔しさを持っている選手。3位明治大・小澤大輝(2年/韮山)、6位から順位を上げる。

区間賞は東洋大・石田洸介(1年/東農大二)。出雲駅伝5区で区間賞というデビューを飾ったスーパールーキー。高校時代、5,000mで2度高校記録を更新しているという。

同タイムの区間1位に青学大・髙橋勇輝(4年/長野日大)、6位まで順位を上げ、「来た来た来た」という感じ。

 

5区:ここで早大が石塚陽士(1年/早稲田実区間4位の走りでトップに立つ。出雲駅伝4区区間賞のルーキーは、東京国際大との37秒差を逆転し、野村優作(3年/田辺工)区間2位の快走で2位に上げた順大に17秒差をつけて首位に立った。

区間賞はこちらもルーキー青学大・佐藤一世(1年/八千代松陰)、3位まで上げてきた。中央大・三浦拓朗(4年/西脇工)が区間3位。ここで11位から8位まで上昇したことが入賞につながった。

 

6区:4区5区と振るわなかった東京国際大が、丹所健(3年/湘南工大附)の区間新の快走で首位奪還。駒大・安原は区間2位の走りで4位へ、次の田沢の走りにつなげた。青学大は振るわず5位に後退。明大主将・鈴木聖人(4年/水城)が7位から3位まで押し戻す。浮き沈みがかなりあった。早大は佐藤航希(2年/宮崎日大)の不調が残念。7位に落ちた。

 

7区:駒大・田沢の自信に満ち走りっぷりに感動。しかし、青学大も近藤幸太郎(2年/豊川工)の区間2位の走りでついに2位に上げてくる。早大は鈴木創士(3年/浜松日体)が6位に戻す。

 

8区:アンカー勝負。駒大・花尾がトップでスタートするも、青学大キャプテン・飯田が8kmすぎで並ぶ。ここからは二人がずっとずっと並走。残り2kmのスパートで、飯田を振り切った花尾。青学大は8秒差に泣いた。

3位順大、4位國學院大、5位東京国際大、6位早大、7位明大、8位中大。

順大は四釜峻佑(3年/山形中央)が区間2位で3位まで上げた。

國學院大は伊地知賢造(2年/松山)が区間賞獲得で7位から4位に上げフィニッシュ。

東京国際大は2度立ったトップの座を守れなかった。

来年のシード権を獲得した中大・手島駿(4年/国学院久我山)のゴールした瞬間の喜びの爆発は感動的だった。

 

贔屓の早稲田大にはあまり期待していなかったんだけど、選手がそろっているという印象。不調だった佐藤航希以外、2桁順位がいない。佐藤も実力者だから、全体でもっと上がる可能性がある。箱根駅伝が楽しみになった。