報道の魂

2008年11月16日(日)
TBS報道の魂

アフリカ・ブルキナファソの貧困問題に、地球温暖化の問題を見る。
ならば、TBSは温暖化にどういう姿勢をとるのか、
収益至上主義に陥った報道機関に、できることは?


今年、世界各地で食糧価格の高騰をきっかけにしたデモや暴動が相次いだ。現地では一体、何が起きているのか。私達は、西アフリカの小国、ブルキナファソに向かった。取材を進めるうち、「食糧が高い→生活が苦しい→暴動を起こす→食糧支援を行えば解決するのではないか」といった単純な図式では説明し尽くせない事態が進行していることを知った。

ブルキナファソは世界で最も貧しい国のひとつに数えられている。そこで暴動の主体となったのは青年達だ。彼らは農村で生活ができないため、仕方なく農地を捨て、街にやってくる。しかし街にも仕事はない。生活はますます苦しく、そこに食糧価格の高騰が追い打ちをかける。

彼らはなぜ村を捨てたのか。彼らが出てきた村で私達が見たものは、水不足に苦しむ農民の姿だった。村人は言う。「昔は自給自足の生活ができていました。それは雨が降らなくなる前のことでした」。

雨が降らない。先進国の引き起こした気候変動が今、アフリカの最貧国を追い詰めている。村人たちの言葉に表れている通り、最も気候変動の影響を受けるのは、それを防ぐ手段をもたない、貧しいアフリカの国々だといわれる。

環境破壊、水不足、食糧危機、そして貧困。今、世界が直面するすべての課題を内包するアフリカの国は、問いかけている。


取材:立山芽以子
撮影:福島正和
音声:浦上晶生